豊橋競輪場

まくる君の部屋

競輪酒場「郷愁劇場」


第一話 まくる君語録「まくる君だもの」
第ニ話 煩悩対談「菖蒲の部屋」
第三話 競輪酒場「郷愁劇場」
  第一夜 昔の競輪場
  第二夜 開場ラッシュ
  第三夜 閉鎖された競輪場
  第四夜 競技自転車
  第五夜 脚質:「逃」「両」
  第六夜 脚質:「追」
  第七夜 車券戦術:連単・連複
  第八夜 車券戦術:ナガシ・ボックス
  第九夜 選手の心理
  第十夜 豊橋競輪を考える
第四話 目隈蓮太郎「蓮太郎が行く」

いつも競輪場の三角スタンドからバンクを見つめる男 大外郷愁。
そのミステリアスな競輪哲学を紐といて、今日も競輪を熱く語ります。

第九夜:選手の心理

選手への道やあ皆さん、競輪酒場「郷愁劇場」へようこそ。お相手は競輪哲学詩人『大外郷愁』。
今夜のテーマは『選手への道』。珍しく深いお話が聴けそうですよ。

いきなりじゃが今回は競輪選手への道について語ってみようと思うのじゃ。まずは他のスポーツ選手と比較してみるとじゃが、野球選手やサッカー選手などはその競技をテレビなどで観ることから始まるじゃろう。そしてそのプレイに憧れるようになり、選手になると十分な収入と名誉が与えられる事を知りプロ選手になる事に憧れるのじゃ。しかしそこには東大に入るよりも厳しい競争があることを知り、多くの者が夢を半ばにあきらめてしまうのじゃ。

ではプロスポーツとして確立していない柔道や陸上はどうじゃろうか? やはりテレビなどで時々目にした競技、親兄弟の勧めなどで始めることも多いじゃろう。そして強くなって全国大会、世界大会を意識するレベルまで来ると、引退後もこの世界で指導者として生活できる目処は立ってくるのじゃ。しかしそれは、たとえ日本一になったとしてもプロスポーツ選手としてのそれとは程遠いものでしかないのじゃ。しかしそれも承知の上で進んできた道で、後進を育成しつつその競技が少しでも一般に受け入れられるように努力しておるのじゃ。

では競輪選手はどうじゃろうか? まず競輪選手をテレビでみて憧れて選手になったなどという話はあまり聞いたことはないのう。多いのは陸上や野球などの別の競技をやっておって自転車競技に転向した選手たちじゃの。早ければ中学や高校に自転車部があって、そこで見出されるのじゃが、高校3年まで他の競技をして、その後その身体能力を活かして競輪選手を目指して有名選手に弟子入りするという流れが多いかのう。

ここであらためて競輪という競技を考えてみるとじゃな、競輪は確かに数少ないプロスポーツのひとつじゃ。しかしそれは競技人口や観客が多いからではなく、公営ギャンブルとして認められているから成り立っているということじゃのう。実際競技人口は少ない上に、競輪選手の実情があまり広く知られていないため、選手には失礼じゃが他のプロスポーツに比べれば選手になるハードルは低いと言わざるを得ないのじゃな。もちろん選手になってからさらにその上を目指す厳しさはどの競技も同じなのじゃろうがな。

遠回りになってしまったが、つまりプロスポーツ選手として自身の運動能力で十分な収入を目指せる道として、現実を見据えて競輪選手を選んだ者たちの戦いじゃから、時には夢や浪漫ではなく生き残りをかけてどんな競技よりも激しくぶつかり合うのじゃ。もちろんファンの期待を裏切らないよう、選手達には常に精一杯の競走を見せてもらいたいものじゃが、その辺ではいちばん厳しい戦いをしておるのが競輪選手かもしれんのう。

さあ、話がながくなったの。せっかく作ったどて煮が売れないのでこまったが、ひとまず暖簾はしまっておこうかのう。おでんもたくさん残ったのう、弱ったのう。